今話題の「シンクライアント」
「シンクライアント」って何?と思って、検索したあなたに、シンクライアント製品を20年取り扱ってきた筆者がどこよりもわかりやすくご説明します。
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シンクライアントとは簡単にいうと
端末にデーターを保存せずにサーバーでデーターを保存する方式
と説明できます。
これは一体どういうことでしょうか?以下で、詳しく説明していきます。
一般的に私たちが利用しているデスクトップ型PCやノート型PCというのはHDD(SSD)を搭載してアプリケーション(Office)などで作成したデーターやネット上に公開されているデーター(音声ファイルなど)を操作端末に保存して使用しています。
このような端末を専門用語でFat(太った)クライアントと呼びます。
シンクライアントとはその反対の意味で
Thin(薄い)クライアントの意味になります
つまり…
「電源を入れても何もできない」
端末を指します。
実際は端末のメモリにサーバーへ接続するための専用ソフトを実装させています。
これをシンクライアント端末もしくはゼロクライアント端末とも呼びます。
またFatクライアントに対してアプリケーションなどを用いてシンクライアント化するという方式もあります。
アプリケーションの処理やデーター保存といった機能は全てサーバー側で行わせるため 端末には最小限の機能しかない。
端末は、シンクライアント端末もしくはゼロクライアント端末と呼ばれる。 物理的な要件だけを満たしている状態(パソコン・マウスなど)である。Fatクライアント端末をシンクライアント化できる。
サーバー処理をする仮想PCも含めてシンクライアントと呼ぶ事があります。そのため、混乱を招くことが多々あります。さらに仮想デスクトップ(VDI)の混同とあいまって、わかりにくいものになっています。仮想デスクトップ(VDI)とはシンクライアントの実装方式の一つで、シンクライアントそのものを指すことばではありません。
サーバー側で実行されたデスクトップ画面をネットワーク経由でシンクライアント端末に表示する方式です。
仮想マシンにWindows ServerOSをインストールしてアプリケーションを複数人で利用するタイプをSBC型(サーバーベースドコンピューティング)と呼び、アプリケーション配信やアプリケーション仮想化と呼ぶ人もいます。
アプリケーションだけでなくサーバーのデスクトップも含めて普通のWindowsOSのように見せる方法をデスクトップ共有型、もしくは仮想デスクトップといいます。
仮想マシンにWindows ClientOSをインストールして個別に環境を使わせる方法をVDIと呼びます。デスクトップ共有型とVDIを仮想デスクトップと呼ぶ人もいます。
仮想PC(シンクライアントと呼ぶ人もいます) | ||
---|---|---|
アプリケーション配信 | 仮想デスクトップ | |
Windows Server OS | Windows Client OS | |
SBC型 | デスクトップ共有型 | VDI型 |
アプリケーションのみを複数人で利用 | アプリケーションとデスクトップを複数人で利用 | 個別にアプリケーションとデスクトップを利用 |
それは、仮想デスクトップはシンクライアント実装方法のひとつだからです。大きいくくりでいえば、仮想PCもシンクライアントの一種ととらえることができます。
サーバー側で処理をさせた結果を画面転送のプロトコルでクライアント側に配信をしますそうすることによってクライアント側にはアプリケーションの結果や生成されたデーターを保存させない仕組みを作り上げています。
この状態をシンクライアントと呼ぶ事があります端末側でゼロクライアント端末を採用して、サーバー側でSBC型、デスクトップ共有型、VDIを選んで行う組み合わせもあります。端末側はFatクライアントを採用してサーバー側でSBC型、デスクトップ共有型、VDIのいずれかを採用し、組み合わせて使用することができます。
仮想PC(シンクライアントと呼ぶ人もいます) | ||||
---|---|---|---|---|
本来の意味でのシンクライアントの範囲 | 拡大解釈として使われるシンクライアントの範囲 | |||
端末側 | サーバー側 | |||
シンクライアント端末もしくはゼロクライアント端末 | ファットクライアントをシンクライアント化 | アプリケーション配信 | 仮想デスクトップ | |
物理的に要件を満たしている | アプリケーションなどを用いて疑似的に要件を満たす | SBC(アプリケーションのみ) | デスクトップ共有型(アプリケーション+デスクトップ) | VDI(アプリケーション+デスクトップ) |
シンクライアントは様々な場所で活躍出来ます。以下は一例です。
■BCP対策
■セキュリティー向上
■業務の効率化
■IT管理者の運用の負担が下がる
■デバイスを選ばず操作できる
■ダイバーシティーの促進
■低コストでアプリケーションのクラウド化が可能
■レガシーアプリケーションの活用
では、ひとつづつ詳しく見ていきましょう
企業が、自然災害や火災、事故、停電、危機的なウィルスのまん延などの緊急事態に見舞われた際に取るための施策です。
BCP対策と言っても「社内対策チームの立ち上げ」「有事の際のマニュアル設定」などありますが、シンクライアントで可能になるのはインフラの確保と言えるでしょう。災害などが発生しても基幹システムは、サーバーに守られ、使える状態を保つことができます。遠隔でも復旧が迅速に行われ顧客の流失、機会損失を防げます。
シンクライアントは、サーバー側で処理を行います。このため、顧客情報や社内機密文書などの重要データーは各端末にのこりません。端末が盗まれたりしてもデーター漏洩は防げます
どこからでも、基幹システムへ繋げることができ仕事ができます。どんな環境でも最適な状態で働けるシステム環境を作ることが可能です。
そのため、営業先から会社にもどりデーターを入力するといった手間も省けます。また、出張先での資料をその場で基幹システムに入力する。といった事が迅速にできるので業務の効率化がはかれます
端末側には固有データーやソフトウェア・ハードウェアがないため、IT管理者は集約されているサーバーを管理するだけです。
「PCの調子が悪い、ソフトが立ち上がらない」といったユーザーの問い合わせを受け、現場に駆けつけたり一人一人に対応しなければならないようなケースが減少します。技術者不足も叫ばれる中、負担が少なければ少人数で運用できます。
アプリケーションやOSはサーバー上にあるため 家のPCやスマホ・タブレット、スペックの低い端末でも、身近にあるデバイスを使って業務ができます。
会社のダイバーシティー「多様性」を促進して、生産性の向上や採用の幅を広げることができます。 どこからでも、システムへ繋げられるので、出社が難しい人や、海外からリモートで働きたい人。など様々な雇用が可能になり、優秀な人材の流失を防げ、また雇い入れも可能になります。
社内アプリケーションのクラウド化。既存パッケージソフトのクラウド化。など、オンプレミスで実行していたシステムをクラウド化にすることが可能です。ソフトウェアベンダーが、既存パッケージソフトをクラウド化することにより顧客の流失や、クラウド化にすることにより、売り切り型のビジネスモデルから、サブスプリクションモデルに切り替えることも可能です。
Windows Updateにより、昔のアプリケーションが使用できなくなった場合改修して利用するには様々なコストがかかります。 しかし、アプリケーションをシンクライアント化することにより、 端末側が新しいバージョンでも、サーバーにある古いアプリケーションは問題なく使えます。 アプリケーション改修している期間に使用したり、新しいシステムを導入するまでに延命処置として使用したりと、活用法は様々です。
その他にも業界、業種によって様々な利用方法ができるのがシンクライアントなのです。
シンクライアントは、上記で説明した通りメリットも多いのですが導入に関してはデメリットもあります。デメリットとしては
●パフォーマンスが悪くなる
●ネットワークが悪い、つながら角なると何もできなくなる
●コストがかかる
といった、デメリットがあります。
ではデメリットの詳しい内容をご説明します。
サーバーにアプリケーションやOSがあるのでネットワークに繋がっていなければ何もできません。環境が整っている状態では問題はありませんが 外出先などで使用する際は安定的なネットワークの確保が必要です。 データーの転送量などによっても、遅延が発生する可能性があります。
一般的なHDD付きPCを導入する際には1人あたり、10万前後ですが、シンクライアントを導入した場合構築費や、サーバー代、シンクライアントの使用料など含むと、1名あたり40万以上する場合があります。もちろん、構築する内容により、コストを抑えることもできますが、しっかりと計画を立て組み立てないと、余計なコストが、かかり使い勝手が悪い状態になってしまいます。
端末にデーターを保存せずにサーバーで保存する仕組み
シンクライアントは働き方改革、BCP対策など企業や組織が取り組まなければいけない課題に業種・業界にとらわれず活用できるシステム
使用アプリケーションのパフォーマンスが落ちたり、ネットワーク回線が無いと使用できない、コストがかかる面もある