Case06
今回ご紹介するのは、「株式会社KSK(東京都稲城市)」が販売する、住宅メーカーに特化したERP(※)パッケージ、「住宅マネージャー」だ。
※ERPとは「Enterprise Resources Planning」 の略称。企業の持つ資源「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を一か所に集めて管理し、有効活用するためのシステム。一般的に「基幹系情報システム」と呼ばれる。
この「住宅マネージャー」を使用するユーザー、某住宅販売様へ「GO-Global」を組み込み、フルカスタマイズをした事例をお届けする。
GO-Global販売代理店:株式会社KSK
エンドユーザー様:某住宅販売会社様
株式会社KSKは、東京都稲城市に本社を構える売上約160億円、社員数2千名を誇るシステムインテグレーター。「マジメな未来をかたちにする」をブランドメッセージに掲げ、強みである「現場力」を自社内で育成し、高い技術力と競争力を維持している。
同社のビジネスは「システムコア事業」「ネットワークサービス事業」「ITソリューション事業」の3つの事業を展開。システムコア事業は、主にLSIを中心とする半導体設計や組込みソフトウェア開発を実施。主力であるネットワークサービス事業は、ネットワークに関連するコンサルティングや要件定義などの上流工程から、設計・構築・運用保守まで幅広い事業を行う。
ITソリューション事業は、アプリケーション開発ビジネスが主流だ。自社パッケージソフト「住宅マネージャー」の販売を軸に、住宅メーカー向けシステム構築や運用保守を通じ、顧客の事業を支えている。また同社は、健康経営銘柄を3年連続で取得。社員の健康や働き方を大切にしている会社である。
ITソリューション事業本部 住宅ソリューション事業部
ゼネラルマネージャー 営業責任者 山口 靖様
ITソリューション事業本部 住宅ソリューション事業部
シニアエンジニア 星 和則様
※DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称。デジタル技術を駆使し、人々の生活をより良いものへ変革させていく概念。
「住宅マネージャー」は、リリースから30年の歴史を持ち、中堅ビルダーを中心に全国130社以上の企業で利用されている。施工に関わる工程管理はもちろん、顧客管理から発注請求・支払管理、報告書作成からデータ分析まで、ワンストップで提供している。
住宅販売で重要となるのが、引き渡し後の「アフターサービス」だ。半年後、1年後の定期点検計画や、顧客からの日々の問合せ、工事の設計図面や完了図書などのドキュメント管理はとても重要である。
住宅マネージャーでは、そういった一連の管理を一挙に担えるのが特徴だ。
住宅マネージャー導入企業は、顧客の定期点検や問合せ対応を漏れなく迅速に対応でき、アフターサービスが充実。顧客満足度を高めている。
住宅マネージャーのエンドユーザーとなるのが、様々な施設の空間デザインや施工、リフォーム事業を手掛けていた某住宅販売M社様。同社は2002年10月にシステム導入し、今では20年以上も「GO-Globalと住宅マネージャー」を組み合わせ利用している。
某住宅販売M社様は、全国に30拠点以上の営業所を構えリフォーム事業を展開しており、各拠点の営業所向けに、住宅マネージャー導入プロジェクトが浮上する。住宅マネージャーは新築住宅向けに開発されたパッケージだが、KSKは同社の要望に応えるため「リフォーム仕様にフルカスタマイズ」する提案を行い、導入プロジェクトが進んでいく。
数あるシンクライアント製品の中で、KSKがGO-Globalを選定した理由は以下大きく3つあった。
(1)当時の環境でレスポンス早く運用できたGO-Global
(2)30拠点以上、180名の同時利用を可能とするパフォーマンス性能
(3)機密性の高い個人情報を守る万全のセキュリティ
では上記を一つずつ見ていこう。
当時の住宅マネージャーのシステムはクライアントサーバー型で、各拠点に住宅マネージャー環境を構築し本社サーバーにアクセスする仕様となっていた。しかし、レスポンスが非常に遅く使い物にならない問題が発生する。
20年前はインターネット回線が貧弱で、インターネットの速度も100Mbps程度が精一杯。そのため、各拠点から一斉に本社サーバーにアクセスすると、レスポンスが追い付かなかったのだ。
回線の悪いインターネットのイメージ図KSKは本課題解決のため、本社と各拠点の住宅マネージャーの高速レスポンスを実現するソフトウェアを探したところ、GO-Globalに辿り着く。
住宅マネージャーをGO-Globalの仕組みに乗せ、各拠点から本社サーバーにリモート接続するテストを実施したところ、見事にレスポンス課題が解決した。
本結果を踏まえ、KSKは住宅マネージャーをGO-Globalに乗せて運用することを決断する。GO-Global活用により、全国30拠点以上かつ180名が本社サーバーにリモート接続し、住宅マネージャーを同時利用できる仕組みを確立したのだ。
現在の「GO-Global×住宅マネージャー」のシステム構成は、東京三鷹市にあるデータセンターに仮想サーバーを設置。仮想サーバー上に、DBサーバー1台、アプリケーションサーバー4台、WEBサーバー1台が起動中だ。
住宅マネージャーはアプリケーションサーバー内に構築されており、4台のサーバーで計180人分のライセンスを割り振っている。全国の営業所のクライアント端末から、GO-Globalを使ってアプリケーションサーバーにアクセスし、住宅マネージャーを利用する仕組みとなっている。
また、GO-Globalの通信プロトコルRapid-Xは独自の技術となり、仕様は公開されていない。 さらにGO-Global はサーバー画面の画像データではなく描画処理の命令をクライアント端末へ送信しているため、第三者に覗かれた場合でも解読することは困難で、堅牢なセキュリティに守られていると言える。
顧客の業務フローが非常に複雑で、住宅マネージャーのシステムフローと大きく乖離する課題があった。KSKは住宅業界に精通したノウハウをもとに、顧客の業務フローをヒアリング。顧客の専門用語や業界特有の商習慣を理解し、住宅マネージャーのシステム設計に落とし込む。業務に合わせた機能カスタマイズにより、顧客業務にマッチするシステムを実現した。
日々、全国30拠点以上の何百人もの人が住宅マネージャーを利用するため、データやり取りの頻度が非常に高かった。高いパフォーマンスを維持し、なおかつシステムを絶対に止めない「可用性」が必須要件とされていた。KSKは「GO-Global×住宅マネージャー」の能力検証を繰り返し行い、高いパフォーマンスと可用性を維持するシステムを作り上げたのだ。
住宅業界は、年度以外に月次や四半期を含めた決算が重要で、決算業務の効率化のため会計システムとの連携が重要課題だった。リフォーム事業は、簡易な改修工事から家全体のリフォームまで幅広く、1件1件の入出金の動きを住宅マネージャーでしっかり管理する必要がある。KSKは会計出力のテストを繰り返し行い、1円のズレも起きないように奔走。住宅マネージャーと会計システムを連携し、顧客の決算業務の効率化を実現している。
住宅販売は機密性の高い個人情報を取り扱うため、絶対に顧客情報を漏らさない「高いセキュリティ」が求められていた。GO-Globalはサーバー上でデータを一元管理するため、端末にデータが残らず、漏えいリスクを下げることが可能。先にも述べた様にGO-Globalの通信プロトコルRapid-Xは、GraphOn社の独自技術で仕様が非公開である。そのため、解読は困難。本仕組みによって、顧客の求めるセキュリティ水準をクリアした。
コロナ禍の影響で、住宅業界でも働き方改革が徐々に広がっている。今まで、現地・現物を重視してきた住宅業界も、働き方改革が重要なテーマであり、場所を選ばない働き方や業務効率化が求められている。またSDGsが叫ばれる昨今、住宅業界に根強く残る「紙」の文化も、今後は電子化が進んでいく。
これら環境変化に伴い、住宅業界においてもクラウド利用やシンクライアント需要が高まっている。KSKは住宅業界における「DX推進」を掲げ、住宅マネージャーによるデジタル化を推進している。住宅マネージャーはクラウド環境にも対応済みで、受発注を電子化するEDIシステムや、現地でデータ確認や日報入力が可能なスマートデバイスなど、他のシステムとスムーズな連携が可能だ。
住宅マネージャーをプラットフォームに、各種データ連携やモバイル活用を行い、現場業務を効率化。従業員の残業削減に寄与するなど、住宅業界の働き方改革を推進している。KSKは住宅マネージャーによるスムーズな情報共有とデータ連携で、組織のムダ・ムラ・ムリを排除し、住宅業界のDXを加速させていく。
[社名] | 株式会社KSK |
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[業種] | システムインテグレーター |
[業種詳細] | LSI設計開発、組込みソフトウェア開発(自動車関連)、機構設計技術者(半導体関連)。各種アプリケーション開発、弊社オリジナルパッケージ開発。ネットワーク構築(通信キャリア、官公庁、学校向け等)、インフラ設計・構築・運用・保守。 |
[従業員数] | 2186人(連結 2021年3月末現在) |
[URL] | https://www.ksk.co.jp/index.html |
[ご紹介の製品] | https://www.ksk.co.jp/jm/ |